「変えようとする罠」から「ただ見守る軽やかさ」へ:あるカウンセラーのアーキテクチャの書き換え

対人支援の現場において、「相手を良くしてあげたい」「問題を解決しなければならない」という想いは、時に支援者自身を縛る強力な「呪縛(古いアーキテクチャ)」になってしまうことがあります。

先日、私のセッションを受けられているカウンセラーのクライアントさんに、非常に美しい「アーキテクチャの書き換え」が起こりました。

■ 「相手を変える必要はない」というあり方

その方に対するセッションはもう2年以上、20回以上重ねています。
先日その方は、自身のカウンセリングのあり方について、コペルニクス的転回とも言える深い気づきを話し始めました。

「相手を変える必要なんて、最初からなかったんだ」

悩みを抱えているように見える相手も、実は「本人がそうしたいから、そうしている」のかもしれない。それなら、他人が無理やり介入してコントロールする必要などどこにもない――。

この瞬間に、その方の内なるシステムは完全に書き換わりました。

  • 旧アーキテクチャ: 「相手を改善しなければならない」(重苦しさ、コントロール、介入)
  • 新アーキテクチャ: 「相手を尊重し、肯定し、応援し、ただ見守る」(軽やかさ、信頼、受容)

■ 介入から「お茶を飲んで話すだけ」へ

アーキテクチャが書き換わった結果、その方のカウンセリングスタイルは劇的に変化しました。 何か特別なテクニックを駆使してコントロールしようとするのをやめ、「ただ、お茶を飲んで話をするだけ」の空間になったそうです。

「直すべき問題」として相手を見るのをやめ、存在を丸ごと肯定し、応援する。 一見、何もしなくなったように思えるかもしれませんが、これこそが最も強力なコミットメントの形です。

実は、私とのセッションにおけるその方の佇まいも、驚くほど軽やかになりました。 以前は、どことなく重苦しく、「こうあるべきなのに、そうなれない自分」に葛藤し、辛そうな表情をされることもありました。しかし、根底のアーキテクチャが変わった今、その変化の波及効果は凄まじく、お話ししている私の方までワクワクして楽しくなってくるほどです。

■ 水が高いところから低いところへ流れるように

アーキテクチャが書き換わると、その人の言動だけでなく、醸し出す雰囲気まですべてが自然と変わっていきます。 まさに、水が高いところから低いところへ、何の無理もなく流れるように。

構造が変われば、関わるすべての事象の意味づけが変わり、アウトプット(出方)が変わる。結果として、人間が変わり、生き方が変わる。 支援の現場で起こるこのダイナミックで面白い転換を、ぜひ皆さんにも味わっていただきたいと思っています。

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